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いかに僕が二眼レフ使いになったのか

僕が二眼レフを使うようになったのは、2008年の6月です。横浜の中古店で「ヤシカマット124G」を購入したのが、最初です。僕は「Camera People」という写真SNSに参加しているのですが、そこはフィルム派の人やクラカメ派の人が結構多くて、それに影響されたというのがきっかけです。
といっても、「機材の見た目のカッコ良さ」に惹かれたわけではなく、一番の理由は「6×6判の正方形フォーマットで撮ってみたかった」ということでした。
で、撮り始めてみたら、そのフォーマットが意外と使いやすくて、同じ6×6判のブロニカにも手を出したりしてしまったわけです。ブロニカの方が交換レンズが使えますので、色々な撮り方に対応できますから、しばらくはブロニカの方が稼働回数が多かったのです。
ところが、ブロニカの欠点は「大きくて重いこと」です。流石に、僕もフィルムカメラだけを持ってでかけることはほとんどなくて、普通はデジタル一眼とフィルムカメラを両方持っていきます。そうなると、ブロニカを持ち出すのは、かなり根性が必要です。そこで、横浜開国博に出かけた時に「デジタル一眼+二眼レフ」という組み合わせで出かけてみたのですが、この取り合わせが意外に感触がよかったのです。

ヤシカマット124Gを使い始めた頃の写真。鎌倉の円覚寺のアジサイ。(ヤシカマット124G)

横浜開国博に行った時に、象の鼻パークで撮影した写真。(ヤシカマット124G)

 

本格的にはまる

本格的に二眼レフを使い始めようと思うと、ヤシカマットではなく、もう少しランクが上のカメラが欲しくなりました。そこで、ネット上で評判の高かったミノルタオートコードを探し、オートコードLを中野の中古店で購入しました。それが2009年の秋のことです。
そのオートコードを横浜で試写したのですが、それが予想以上にすごかったのです。僕はいわゆる「レンズグルメ」ではありませんが、それでも「このカメラは写りが違う」と思ったくらいです。ところが相手はクラシックカメラですから、あまり頻繁に持ち出すと壊してしまうかもしれません。普段使いの二眼レフがもう一台欲しくなり、Yahoo!オークションでプリモフレックスを入手しました。東京光学が作ったと言われるブロニカの100mmレンズが好きだったので、同じ東京光学製のプリモフレックスを選んだわけです。
しかし、オークションで安く買っただけあって、それまでの二台とは違い、レンズにカビはあるは、ファインダーはホコリだらけだわで、そのままでは使用できませんでした。とはいえ、ヤフオクで安く落としたカメラを、高いお金を出して修理に出すのも妙な話です。そこで、自分でできるところまで分解・清掃してみることにしました。
35mmの一眼レフは、自分ではモルトの張り替えもできませんが、二眼レフの場合には構造がシンプルなのと筐体が大きめなおかげで、思ったよりまともな整備ができました。自分で自分の機材を整備する楽しさを覚えてしまったことも、二眼レフに愛着を感じるようになった理由の一つと言ってよいでしょう。
さらに、中判のネガで撮影していると、あまり細かい露出を気にしなくなります。1回露出を測れば、時々光線の具合に合わせて1段か2段調整するくらいで、ほとんど露出の失敗はありません。この辺のおおらかさというのも、大いに気に入っています。

写りのシャープさと色の鮮やかさに衝撃を受けたオートコードの写真。(ミノルタオートコードL)

汚れていたレンズを清掃して試写した時の写真。きちんと写って一安心。(プリモフレックスIV)

 

今、二眼レフを使う意味

デジタルカメラが全盛期を迎えている今の時代、あえて二眼レフを使う意味はあるのでしょうか。
6×6判のフォーマットへのこだわりについては前にも触れましたが、現在のデジカメはその辺の需要もくみ取っており、1:1のアスペクト比をフォローする機種が増えています。わざわざ古いカメラを使わなくても、正方形フォーマットで撮影することはできます。
しかし、僕はフィルムの色合いは、やはりデジカメとは違うのではないかと感じています。35mmカメラでは、もうデジタルとフィルムカメラの違いをそれほど感じなくなってきましたが、中判で撮影してみると、その違いを大きく感じます。また、大きなフォーマットで撮影することによるボケの大きさも、絵作りの違いになっているかもしれません。もちろん、ブロニカやハッセルなどの中判一眼レフを使うこともできますが、上にも書いたように、大きく重い機材を使える場面は限られます。その点、二眼レフは、写真の美しさとコンパクトさが両立できる存在だと思っています。
また、二眼レフは、カメラをウエストレベルで構えるため、周りの人に威圧感を与えません。二眼レフを使い始めた頃は、珍しいカメラを構えていると目立つかなと思っていたのですが、むしろ逆で、かなり人が多い所で使っていても、あまり写真を撮っていると思われないようです。シャッター音の小ささも、関係しているかもしれません。そのため、人を入れたスナップ写真が非常に撮りやすく感じています。
もちろん、二眼レフにはいくつかの欠点があります。ほとんどの機種でレンズ交換ができないことや、ビューレンズとテイクレンズの位置のずれで、厳密なフレーミングができないこと等がその代表です。それだからこそ、一眼レフカメラが発展すると廃れていってしまったわけです。ですが、デジタル一眼と二眼レフを併用することで、お互いにない個性を使い分けることができます。デジタル全盛の今こだからこそ、二眼レフを使う意味があるのではないか、と僕は考えています。

 

アメ横にて。人混みの中で撮影してもほとんどカメラを意識されません。(プリモフレックスIIIA)

桜を見上げるカップルを背後から。(ミノルタオートコードL)

 

(2010年8月)

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